2019年3月

30代の転職について

32歳未経験から不動産営業に転職した体験談。異業種の転職を成功させるコツについて、くわしく解説しています。

学生時代に不動産業にも興味があり、運よく宅建の資格をすでにとっていたので、この資格を生かして不動産業へ転職がしたかったのです。
もちろん、勤務しているホテル側には転職活動をしていることを秘密にしておりました。
自宅のパソコンから転職サイトに登録して、週末の時間のある時にエージェントと打ち合わせをしたりして、少ない時間の中での転職活動は精神的にもかなりつらいものでした。

30歳以上で異業種転職をすることの難しさ

ホテルから不動産業界への転職は異業種の転職なので難しい面もありました。
一番ネックになったのは年齢です。
ホテルの接客ノウハウはあっても、不動産に対する知識はあくまで机上のものしか無く、法律や営業方法など、あらゆる面で「即戦力ではない」と一刀両断されてしまいました。

しかし、エージェントから言われたことは、基本はノルマがあってそれをこなしていくといった面では同じ営業職なので自信を持って転職活動をしてください、というコメントをもらっておりました。
それを心の中でお守りのようにして、空いている時間を見つけては別の転職エージェントに登録に行ったり、転職のための提出書類の添削をしてもらったりしました。

転職活動を始めてから2ケ月を過ぎた頃から、何となく転職活動に慣れてきたのか書類選考が通り始めて、ぽつりぽつりと面接に呼ばれるようになりました。面接で聞かれる内容は、ホテルでの営業とはどんなものか、宅建の資格を持っているがどのように生かしていきたいのか、ホテルの営業と違って金額がかなり大きい物件があったりもするがその点は大丈夫か?、体力には自信があるか?、などといったことでした。

転職エージェントに励まされて、しぶとく転職活動を続ける

面接が終わるたびに、仕事を紹介してくれた転職エージェントにどのような面接だったのか連絡をして、落ちてしまってもエージェントから必ず連絡が入って、次は頑張りましょうといつも励まされておりました。

私の担当になってくれたキャリアカウンセラーの方が非常にいい方で、ちょっとでも時間があるときには、面接で失敗してしまった点などの反省会をたまにやってくれたりもしました。

私はかなりのあがり症なので、面接で聞かれること以外にも言わなくていい事まで答えてしまう癖があり、それをまず直していきましょうとアドバイスを受けました。転職活動から4ケ月目を過ぎた頃からは、そろそろ面接にも慣れてきたころからなのか、聞かれた内容に的確に短く返事をすることができるようになり、2次面接へ行けるようになりました。

不動産に関する法律や知識、過去の事例なども並行して勉強をしておきました。

30歳以上の異業種・未経験者の転職は、どうしてもハードルが高いです。不利な状況を挽回するには、熱意を認めてもらうしかありませんから、なるべく自習をして業界研究をしっかりやっておいたほうが良いと思ったのです。

そしてとうとう転職活動から5ケ月目で、ある中堅不動産会社から内定をいただくことができたのです。転職エージェントなしでは、きっとこの転職活動はうまくいかなかっただろうと、しみじみと感じております。

転職エージェントの存在はメンタル面のサポートでも重要でした

今回、5ヶ月にもおよぶ転職活動を、最後まで折れずにやり抜けたのは、やはり担当のエージェントさんがしっかりサポートしてくれたからだと思っています。

異業種の転職を何度も諦めようと思いましたが、エージェントさんのアドバイスや励ましで、何とか内定を手に入れるまでしっかり頑張ることが出来ました。

もし、30歳以上で、他業種に転職をしたいのなら、エージェントさんにしっかりメンタル面もサポートしてもらうことをオススメします。転職活動で不採用をもらうと、やはり精神的なショックは大きいですから、そういった時に話を聞いてくれるエージェントさんがいると、とても心強いですよ。

わたしが、オススメする転職エージェントはDODAです。

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【独立】個人事業主・起業家に役立つ話

税務署に開業届を出さずに個人事業を開始してしまったけど、どんな問題がある?もしくは問題はない?

開業届とは何か?


「開業届」とは、個人が事業を開始したことを税務署に届けるための書類です。
同時に、事業をやめるときは廃業届を提出します。

しかし、中には「起業してみたものの、まだ儲けも少ないから・・・」と考えている間に開業届を出すのを忘れてしまった人もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、気になる開業届のあれこれについてご紹介します。

事業開始にあたって税務署に対する届出を「個人事業の開廃業届出書」と言います。
これがいわゆる「開業届」です。

個人事業主になると、事業の規模に応じて所得税が課せられます。また、事業の規模によっては個人事業税も発生しますし、消費税の課税事業者に該当する場合には、消費税の申告書を提出して納税しなくてはなりません。

開業届を提出すると、こういった税金関係のお知らせが税務署から届くようになります。
所得税と消費税は国税として税務署に納めますが、個人事業税は地方税として各都道府県税事務所に納めます。ちなみに、都道府県税事務所に提出する届出の名称は「個人事業税の事業開始等申告書」です。

開業届けの提出期限は、原則的に開業してから1か月以内ですが、未提出に関する罰則は定められていません。

また、「個人事業税の事業開始等申告書」については、確定申告をすると自動的に都道府県へ通知されるため、提出しない人もいるようです。

開業届を提出するメリットをご紹介

1.青色申告ができる
開業届を提出することによる最大のメリットは、確定申告で青色申告ができることでしょう。
青色申告をすると、年間収入から経費に加え65万円の控除ができるようになります。また、赤字が出た場合も3年にわたって繰り越しが可能です。

なお、青色申告をするにはあらかじめ税務署で手続きが必要になるほか、複式簿記による「仕訳帳」「総勘定元帳」の記帳と、貸借対照表と損益計算書の作成が必要です。

簿記の知識がない初心者には難しいように思えますが、最近は会計ソフトで簡単に記帳できます。
65万円の控除は個人事業主にとって大きいので、ぜひチャレンジするべきでしょう。

開業届と青色申告に必要な「所得税の青色申告承認申請書」は、同時に税務署に提出するという人が多いようです。

2.屋号の銀行口座が持てる
また、開業届を提出すると、屋号で銀行口座が開けます。
個人口座と事業用の口座は分けたほうが経理作業も楽になります。
また、屋号を名乗り口座を作ることで、社会的な信用も高まります。

開業届を出すにあたって注意すべきタイミング

1.会社を辞めて起業する人
今まで勤めていた先を辞めて独立・開業するという人もいるでしょう。こうした人のうち、雇用保険から失業給付を受けている人は、開業届のタイミングを見計らったほうが良いかもしれません。

失業保険を受け取る条件の1つに、「本人に再就職する意思と能力があること」が求められています。開業届を出して事業を開始している場合、「再就職する意思がない」と見なされるため、失業給付が受けられなくなる可能性があります。

なお、雇用保険の給付の1つに「再就職手当」もあります。これは、「再就職」という名前がついていますが、実は起業した場合でも受け取ることができます。

ただし、再就職手当を受け取るには以下の条件があります。
受給手続き後、7日間の待機期間満了後に就職、または事業を開始したこと。
就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。

また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待機期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
1年を超えて勤務することが確実であること。

原則として、雇用保険の被保険者になっていること。

過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。

受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。

“(出典:ハローワークインターネットサービス「再就職手当のご案内」)”

起業する人が再就職手当を受け取る場合には、「7日間の待機期間満了後に就職または事業を開始」しなければなりません。
したがって、在職中の場合や、退職届を出したり法人を設立したりした場合には認められないことになります。

起業したばかりだと、「1年を超えて勤務することが確実」という部分に引っかかりを感じる方もいるかもしれませんが、開業届や会社のウェブサイトなどのコピーを持参すれば認められることが多いようです。

なお、再就職手当の給付額は以下の通りです。
1.支給残日数3分の1以上、3分の2未満の場合 支給残日数 × 40% × 基本手当日額(1円未満切り捨て)
2.支給残日数3分の2以上の場合 支給残日数 × 50% × 基本手当日額(1円未満切り捨て)
(出典:ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」)”

起業したばかりで何かとお金がかかる時期に、少しでも手助けになる手当がもらえると心強いですね。

2.配偶者の扶養で社会保険に入っている人
パートの主婦が夫の扶養に入れるかどうかの基準として、「年収130万円のカベ」などといいますね。
これは、健康保険や厚生年金といった社会保険の扶養に入るための限度額の基準のことで、パートや個人事業主であっても年収130万円を超えた場合、年金保険料を納める必要のない国民年金の第三号被保険者ではいられなくなります。

ただ、健康保険の場合、扶養の範囲を外れるかどうかは、加入している健康保険組合の基準によります。
「年収130万円」までであればOKという場合、「所得130万円」までOKという場合のほか、中には収入によらず「配偶者が自営業の場合、健康保険の扶養に入ることはできない」と定めていることもあります。

この場合、開業届を出していると自営業とみなされてしまいます。
そのため、扶養に入っている方は、開業届の提出前に配偶者が加入している健康保険の規約をチェックすることをおすすめします。

社会保険の扶養を外れると、年間十数万円以上の負担になります。

開業してそれ以上収益を上げている場合は気にする必要はないかもしれませんが、微妙なラインという場合は扶養の範囲内にとどめるのが得策でしょう。

労務・社会保険関係

【裏ワザも紹介!】育児休業中に「育児休業給付金」を受けるための手続きについて、詳しく説明しています

さて育児休業は、男女ともに与えられた労働者の権利です。
ただ、家族が増えて何かとお金が入り用になる時期、育児のために仕事を休むことで経済的に負担が大きくなる懸念があります。

そうした時に頼りになるのが、育児休業給付金です。

育児休業給付金の対象になる人とならない人がいることをまず知ってください

以下の条件に当てはまっている場合、パートや契約社員、男性でも育児休業給付金の対象となります。

◎雇用保険の被加入者
◎育休中、休業開始前の給料の8割以上の賃金を支払われていない
◎育休前の2年間で、1ヵ月に11日以上働いた月が12ヵ月以上ある
◎就業している期間が支給単位期間ごとに10日以下となっている

以下の人は育児休業給付金の対象になりませんので注意しましょう。

×自営業などで雇用保険に加入していない
×妊娠中に退職した
×育休開始時点で、育休後退職することが決まっている
×育休を取得せずに職場復帰する

(出典:ハローワークインターネットサービス『育児休業給付とは』

育児休業給付金はいつから? いくらもらえる?

育児休業給付金は一般的に、育休に入って2ヵ月目から、会社を通して申請します。
それ以降は、2ヵ月おきに申請します。
そのため、実際に支給が始まるのは3ヵ月目頃からです。

気になる金額は、育休開始日から180日目までは月額給与の67%、181日目から育休最終日までは50%が支給されます。

月給の上限は44万7,300円、下限は7万4,100円と定められています。

例えば、育児休業前の月給が30万円の場合、最初の180日間は30万円の67%に当たる20万1千円の育児休業給付金が支給されます。

育児休業給付金をもらえる期間は、産後休業終了~子どもが1歳(後に説明する「パパママ育休プラス制度」を利用した場合は1歳2ヵ月)までです。

ただし、下記の理由にあてはまる場合は育休期間を延長し、1歳6ヵ月か2歳まで支給されます。

◎保育園の確保ができない
◎配偶者が死亡、病気、その他の理由で育児が困難
◎離婚で配偶者が子と同居しなくなった
◎6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に次の子を出産する予定、もしくは産後8週間を経過していない

(出典:ハローワークインターネットサービス『育児休業給付とは』

既婚子ども有り男性の3割は「イクメン」志向ですが経済的課題があります

昨今、「イクメン」という言葉が生まれ、男性の育児参加が奨励されています。

また、育児休業をとる男性も出ていますが、それでも残念なことに、男性の取得率はたった3.61%、しかも取得日数は5日未満にとどまっています。

ただし、内閣府の「平成27年度少子化社会に関する国際意識調査報告書」の調査によると、子どものいる男性のうち30%は、「1ヵ月以上の育休を取りたかった」と答えています。

男性が育休を積極的に取れない背景には、社会や職場の無理解の他に、経済的な問題があると考えられます。

また、厚生労働省の調査では、フルタイムで働く女性の平均賃金(2016年)は月額24万4600円で過去最高となったものの、男性と比較するとわずか73%にとどまります。

欧州に比べると男女の賃金格差が大きい日本では、家庭でメインの収入源となる男性が育児休業をとることで、経済的に苦しくなることが懸念されます。

(出典:内閣府『少子化社会に関する国際意識調査報告書』

育児休業給付金の裏ワザをご紹介!夫婦で育休すると給付金が多くなる!?

ただ、夫婦で育児休業と休業給付金の制度をうまく活用することで、より多くの給付を受けることができる場合があります。

育児休業給付金では、男性の育休取得を奨励するため、両親ともに育児休業をする場合の特例(パパ・ママ育休プラス)という制度が設けられているのをご存知でしょうか。

この制度を利用すると、育児休業の取得期間が1歳2ヵ月まで延長されます。子どもが1歳になるまで母親が育休を取得し、その後父親が2ヵ月間取得するという取り方も可能ですし、両親の取得期間が重複することも可能です。
ただし、以下の条件があります。

◎ 育児休業を取得しようとする人の配偶者が、子の 1 歳に達する日
(1 歳の誕生日の前日)までに育児休業をしている
◎本人の育児休業開始予定日が、子の 1 歳の誕生日以前であること
◎本人の育児休業開始予定日が、配偶者が取得している育児休業の初日以降であること

母親のほうが父親よりも給与が低い場合、この制度を利用して半年ずつ育児休業を取得した方が、給付金が増えるケースがあります。
例としては、以下のようなケースです。

例1:母親:月給180,000円(産後休業のあと10ヵ月間の育休を取得)
180,000円×0.67×6ヵ月(72万3600円)+180,000円×0.5×4ヵ月(36万円)=1,08万3,600

例2:母親:月給180,000円、父親:月給250,000円
(両親が6ヵ月ずつ12ヵ月の育休を取得した場合)
180,000円×0.67×6ヵ月(72万3600円)+250,000円×0.67×6ヵ月(100万5,000円)=172万8,600円

両親の月給が異なることに加えて、上で説明したように、6ヵ月以降は給付額が休業前の50%まで減額されてしまうので、両親が6ヵ月ずつ12ヵ月の育休をとったほうが支給額も多くなるのです。

育児休業中は社会保険料が免除されます!

育児休業中は、男女ともに社会保険料が免除されるため、こちらの申請も忘れてはいけません。対象となるのは以下に当てはまる人です。

(ア)1歳に満たない子を養育するための育児休業
(イ)1歳から1歳6ヵ月に達するまでの子を養育するための育児休業
(ウ)1歳6ヵ月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業
(エ)1歳(上記(イ)の場合は1歳6ヵ月、上記(ウ)の場合は2歳)から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業

また、免除される期間は、育児休業の開始月から終了予定日の翌日の月の前月(育児休業終了日が月末最終日の場合は育児休業終了月)までとなっています。

なお、産前産後休業保険料免除制度や育児休業保険料免除制度によって保険料が免除されている期間については、将来年金を受け取る場合に社会保険の被保険者期間として取り扱われるので、年金額が減額される心配はありません。

免除制度を申請するだけで、保険料を納めずとも社会保険のメリットは受けられ、将来の年金額にも響かないのですから、申請しない手はないでしょう。

申請する場合は、「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を作成し、職場を通じて提出します。

(出典:日本年金機構『育児休業保険料免除制度』

育児休業制度をうまく活用して、子育てをしましょうね

子どもは宝物です。
しかし、昨今は経済的な問題で子どもを諦めてしまうケースや、育児のために両親のどちらかが仕事を辞めざる得ないケースもあります。

今回ご紹介した制度は、働きながら子育てをする人を経済的に応援するための制度です。

雇用保険に入っている人なら給付金を受け取る権利があるので、こうした制度をうまく活用していきましょう。

【独立】個人事業主・起業家に役立つ話

独立開業資金の調達方法についてお教えします。自治体の制度融資を利用しましょう!

さて、開業した際の資金調達には様々な手段がありますが、会社を作る予定の自治体がサポートをしてくれるタイプの融資もあります。

通常の金融機関ではなかなか融資を受けられない場合の補完として、自治体による制度融資というものがあります。

資金調達方法を検討している方に参考になる制度融資について、ここでは紹介していきます。

自治体の制度融資とは何か?

自治体が持つ制度融資という制度はどんなものなのでしょうか?

大まかには、中小企業やこれから企業をしようとしている方向けに、民間の金融機関よりも安い金利で融資を受けることができるよう各自治体が行っている金融制度をまとめて呼んだ総称とされていることが多いです。

1回の融資を行う際に関係している企業や団体は通常の金融機関よりも多く、自治体、金融機関、信用保証協会、民間の金融機関となっています。

通常よりも低い金利で金融機関がお金を融資する形になっているため、本来は金融機関のもらえる利益はその分低くなるはずですし、融資先も起業する方や中小企業となりリスクも大きくなります。

そのため、自治体は信用保証協会を通じて金融機関に資金の一部を預け入れることで間接的に民間の金融機関のリスクを減らす役割を担っています。

万が一金融機関に返済ができなくなってしまった場合、信用保証協会が金融機関に返済を肩代わりし、借入を行った方はその後信用保証協会に返済を行うという形になります。

それにより、金融機関は通常考慮すべきリスクを考えなくて良くなるため、中小企業や起業する方に融資がしやすくなるという仕組みです。

自治体ごとに実質の融資を行っているため、エリアによっても融資額や融資の内容は異なっています。

このような制度融資は都道府県で行っているものもあれば、市区町村で行っているものもあります。

詳細な制度内容については各自治体で異なるため、制度融資を検討する場合には各自治体に問い合わせるようにしましょう。

例として東京の制度融資について紹介していきます。

東京都中小企業制度融資について、分かりやすく説明します

大きく融資の用途が3つとなり、

「様々な事業運営に活用」

「新たな事業展開に活用」

「経営の安定化に活用」

といった用途となります。

「新たな事業展開に活用」の中には創業のための融資の項目があり、東京都内で個人であれば1年以内、法人であれば2年以内に創業を予定しており、具体的な事業の計画と必要であれば許可や認定を受けていることを条件に融資を受けることができます。

融資の用途としては設備資金と運転資金になり、融資期間は設備資金であれば7年、運転資金であれば10年が設定されています。

どちらについても金利のみを返済する据置期間が1年で設定されており、通常の融資と比べると比較的長めの期間が設定されています。

この融資には金利とは別に発生する信用保証協会への保証料の半分を補助してくれる内容も盛り込まれています。

制度融資を活用するメリットとデメリットについてもそれぞれ紹介していきます。

メリット

何と言っても、通常よりも融資を受けやすいという点が挙げられます。

もちろん全ての融資に対して承認が出るわけではないですが、信用保証協会と自治体のバックアップありきの融資になるため通常よりも受けやすいこととなります。

また、低金利であることもメリットの一つです。
融資を受けやすくかつ低金利ということで、まさに起業をする方からするとメリットの多い制度になっています。

創業前の申込ができたり経営相談ができたりするといった場合もあります。

デメリット

基本的に法人の住所がある自治体の制度しか使うことができません。

そのため、受けられる融資条件などを選ぶことができず既に決まっているということになります。

また、金利は安いですが信用保証協会が間に入るため保証料が発生します。

金利だけでなく保証料の計算もした上で返済のスケジュールを立てる必要があります。

もう1点は融資を受けるまでにかかる時間が長いという点です。

金融機関から通常の融資を受けるのとは異なり関係する組織の数が多いため複数の承諾や審査を通る必要があり、結果としてかかる時間が長くなってしまいます。

場合によりますが1ヶ月程度は見ておいたほうが良いでしょう。

信用保証協会とは? 分かりやすく説明します

金融機関に対して資金の預託をしている信用保証協会ですが、どういった協会なのでしょうか。

信用保証協会制度融資の目的と同じく中小企業や起業する方向けに資金面のサポートをすることが目的の協会となっています。

特徴としては、直接融資を行うのではなく金融機関に対して信用保証を提供しているという点になります。

各都道府県とは別に横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市にもあり、それぞれの都道府県と市で活動を行っています。

この保証のメリットについてもいくつか紹介していきます。

融資を受ける枠を拡大できる

通常の融資とは別に、保証付きの融資を金融機関から受けることができるようになるため、融資してもらう金額を増やすことができます。

無担保で利用することができる

不動産等の担保が無くても利用することができます。

保証人が不要

個人事業主の場合には保証人の必要は原則無く、法人の場合は法人代表者のみが保証人となり連帯保証人は不要となります。

融資の申し込みと実行手順についてご説明します

実際に融資を受けるまでは大きく4つのステップがあります。

それぞれ
「利用する融資の内容と金融機関を決める」

「該当する地方自治体で紹介状をもらう」

「申込・書類の提出」

「面談・審査」

となります。

利用する融資内容と金融機関を決める
どの融資を活用するかは各自治体で使える融資内容が異なるため確認するようにしましょう。

先に紹介した横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市のいずれかに該当していなければ基本的に各都道府県の窓口に問い合わせるか、ホームページから融資の内容を確認するようにしましょう。

該当する地方自治体で紹介状をもらう
各自治体から紹介状をもらうことが必要となります。

窓口に行って斡旋の申込をし、紹介状をもらうという流れになりますが、面談などが発生する場合があります。
審査が通ると紹介状が送られてきますので各種書類の提出と申込となります。

申込・書類の提出
申込と書類の提出はまずは金融機関から先に始まります。

まずは指定の金融機関に出向き融資の申込書を行います。

紹介状の他に、創業計画書、印鑑証明、登記事項証明書、事業に必要な許認可の写しなどが必要となります。

融資の内容や自治体によって異なる場合があるので事前に確認するようにしましょう。

その後、信用保証協会への申込を行う流れとなります。主な書類としては信用保証委託申込書、企業概要、信用保証依頼書、信用保証委託契約書、個人情報の取扱にかんする同意書、登記簿謄本、印鑑証明などがあります。

面談・審査
金融機関と信用保証協会への申込が完了すると、今度は先に信用保証協会の審査があり、その後金融機関の最終審査を経て融資に至ります。間で面談が必要になる場合もあります。

注意事項などを説明しますね。

かなり融資を受ける側にメリットのある内容ですが、注意点としては金利とは別に保証料が発生するという点になります。

通常の融資と比べると金利を安く抑えることができますが、日本政策金融公庫からの借入のような金利が安く保証料が発生しない融資を受けることができるのであれば、まずは条件を比較してみた方が良いでしょう。

開業したての場合は設備にも当面の事業運営にも資金が必要となります。

また、早くから起業をする場合は人の繋がりなどもまだ少なく保証人を探すのに苦労するといったこともあるかもしれません。

そのような場合、資金調達に制度融資を検討してみると良いでしょう。

【独立】個人事業主・起業家に役立つ話

個人事業主が法人成りすべきか?やめるべきか?を判断するときの見極めるポイントをわかりやすくご説明します。

さて、個人事業主としてスタートしたけれど、途中から法人に変えことを検討している方も多いのではないでしょうか?

ですが、個人事業主と法人は行っている事業が同じでも、税金や社会からの見られ方の面で大きく異なります。

個人事業主が法人成りをすべきかどうかを判断するポイントと、個人事業主と法人成りのそれぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。

行政的な観点からの違いは、どんな感じ?

まず、個人事業主と法人では、行政からの扱いとしてはどのように違うのでしょうか?

まずは法人についてですが、法律に従って「株式会社」「合同会社」などの法人格を持っている組織のこととなります。

法人格を持つと、契約や納税などは全て法人の区分けで行うこととなります。

一方、個人の場合はあくまで個人のままとなり、弁護士事務所や税理士事務所の責任者であっても、法人格を持っていなければ全て個人事業主となります。

この場合契約や納税などは個人の区分けで行うこととなります。

この区分けの違いにより、課される税金の種類や税率が異なってきます。

また、法人の場合守るべき法律や会計方法、手続きなどが個人の時に比べて簡易的でコストも抑えるため、今の事業であまり規模をかえずに運用することを重視している場合には個人事業主の方が比較的メリットが多い場合があります。

一方、責任の観点から見ると個人事業主は「無限責任」、法人成りをした事業主は「有限責任」となっています。

万が一倒産した場合、個人事業主の場合は追っている負債を全て個人で賄う必要があり、時には個人の資産を処分してでも返済する必要があります。

一方、法人の場合は事業と個人は別れているため、原則的には負債に対する責任を持ちません。

たた、融資を受ける場合は連帯保証として事業主個人を求められることが多く、その場合は事実上個人が会社の負債の責任を持っていることになります。

個人事業主と法人で税務的な観点からの違いはをご説明します

個人事業主が法人化すべきか、それともあくまで個人事業主として事業を行っていくかの観点の1つに、税務的な観点からの違いがあります。

大きく違いが出るのは、個人事業主での所得税と法人での法人税の部分ですが、どちらの形態を取るかによって、収めるべき税金の種類が異なってくるため、税金の種類についても説明します。

個人事業主の場合

納める税金は大きく4つの種類となります。

「所得税」
「住民税」
「個人事業税」
「消費税」

となり、内容は下記の通りです。

所得税:
1年間での所得の大きさに対してかかる税金のことです。
所得の金額によってそれぞれ税率が定められており、5%~45%とかなりの幅があります。

住民税:
1月1日の時点での住所の場所によって収める場所は変わりますが、住んでいる市町村に収める税金のことです。
前年の所得の大きさに合わせて課税される「所得割」と自治体によって課税の大きさが異なる「均等割」の2つの合算となります。

個人事業税:
所得税や消費税とは全く別物として都道府県に対して収める税金となります。
税金の金額は収入から必要経費・専従者給与・事業主控除などの控除引いたものに、税率をかけ合わせて金額となります。

税率は営んでいる事業によって変わり、3%~5%となっています。

消費税:
サービスや物の取引の際に発生する税金で、現時点で8%になっています。

法人化した場合

法人化した場合も厳密にはかなりの種類の税金の種類がありますが、

主に4つで

「法人税」
「法人住民税」
「法人事業税」
「消費税」

となります。

消費税は個人事業主での内容と同じになるため、それ以外については下記となります。

法人税:
法人税は国に収める「法人税」と地方に収める「地方法人税」があります。

「法人税」については、会社の利益から損金を引いた金額を所得金額とした時、所得金額に法人税率をかけあわせたものとなります。

税率については所得金額が800万以下の場合は15%、800万を超える場合は23.4%となっています。

「地方法人税」については「法人税」の金額に4.4%をかけ合わせた金額となり、どちらも支払うことが必要となります。

法人事業税:
国ではなく自治体に納める税金となり、住所がある場所によって金額が異なります。計算方法としては所得金額に税率をかけ合わせた数値となります。税率は所得の大きさによって異なります。

法人住民税:

法人事業税と同じく、自治体に収める税金となるため住所によって金額が異なります。

個人事業主の住民税と同じように所得割と均等割があります。

どちらの方が税金の面で得をするかについては様々な考え方がありますが、大きく違うのは個人事業主では所得税がかかり、法人では法人税がかかるという点です。所得税は所得の大きさに応じて課税される税率が変わってきますが、法人税の場合は一定の所得金額を超えると税率が一定になります

ただ、法人の場合は利益が出なかったとしても法人税の均等割の金額は課税されます。

その点、個人事業主の場合利益がでなければ所得税の収めはありません。

また、経費として認められる範囲が違う点も大きな違いとなります。法人の場合の方が経費として認められる範囲が広く有利に働く場合があります。

そのため、規模を拡大し売上・利益を上げていく想定で事業を行っている場合、法人にしておいた方が税金面で得になるケースがあります。現在自分が行っている事業は、どこまでの成長を視野にいれているのかで判断すると良いでしょう。

信用面・手続き面の違いはどんなものがあるのかをご説明します

法人と個人事業主では、取引先からすると信用面の違いも出てきます。

個人事業主は法人と比べて開業するためのハードルが低い分、主に資金面において信用度が低くなりがちです。

法人の場合取引先を選ぶ際に与信という考え方がありますが、個人を相手に取引をする場合一定の金額までしか取引をしない、もしくは個人とは取引をしないという考えの会社もあります。

自分が行っている事業のジャンルと取引金額を考えた際、取引先の傾向としてどういった傾向が多いのかなどは事前に把握した上で決めた方が良いでしょう。 また、手続き面でも大きな違いがあります。

個人事業主の場合、開業届けを提出していれば大きな手続きは無く事業を始めることができ、確定申告の手続き程度となります。

一方、法人の場合、まず登記が必要となり6~25万円の費用も必要となります。
また、定款の作成といった手続きも必要となります。

事業運営している中でも守るべき法律も多く手続きも多いため、個人事業主と比べると手続き面の負担があると言えます。

税金面と手続き面を合わせて考えた場合、法人の場合は登記の際に手続き面が多少複雑で事業運営上の手続きも多いものの、利益を伸ばしてくことを考えれば税金面で有利に働く点が多い一方、個人事業主の場合は開業には手続きと費用の負担は少なく始めやすいものの、税金面で有利に働く点が少ないということとなります。

それぞれのメリットとデメリットをご説明します

このように個人事業主と法人成りを見る観点によってメリットとデメリットが変わってきます。

あらためてメリット・デメリットをまとめてみましょう。

法人成りのメリット

有限責任にできる:
法人と個人を分けて考えるため、負債を負った時の責任を有限にできます。

ただ、事業主が連帯保証に入っている場合は実質無限責任になることもあります。

事業を伸ばす場合、節税になる:事業での利益にもよりますが、ゆくゆくは事業を伸ばす予定がある場合、節税することができます。

信用力がある:

与信や基盤の安定面で個人事業主よりも信用力が増します。
会社によっては法人でないと取引できないケースもあり大きなメリットとなります。

法人成りのデメリット

赤字でも税金がかかる:
法人住民税の均等割りのおよそ7万円が赤字であってもかかります。
個人事業主の場合は利益がでなければ税負担はありません。

手続きの量が多く複雑:
登記に始まり事業運営上必要な手続きが多くあります。

個人事業主を継続するメリット

利益が出なければ税負担は無い:
赤字であれば所得税・住民税の負担が無いため、赤字の状態でも支払いが発生することを防げます。

手続きが簡単:
現状の事業のまま規模を変えずに運営していくのであれば、手続き面が少ないことは大きなメリットになります。

個人事業主を継続するデメリット

経費として計上できる項目が少ない:

法人に比べて経費として計上できる項目が少なくなります。
例えば自宅の家賃ですが、個人事業主の場合は使用している割合に応じて経費として計上する形となります。
一方法人の場合は契約を個人から法人に変え社宅とすれば、社宅として給与から引かれる分を経費として計上できます。

信用力が無い:

個人の場合はどうしても基盤の安定性の面で信用が落ちてしまいます。
それにより取引できない会社も出てくる可能性があります。

メリット・デメリットと事業の将来を加味して判断を
個人事業主と法人成りには良い点も悪い点も両方があります。自分の事業を今後伸ばしていきたいのか、それとも維持できれば良いのかを考えて選ぶ必要があります。

節税のメリットや信用度など全体を見ながら判断していくことが必要です。

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労務・社会保険関係

【労災】業務中の病気や怪我で、障害が残ったときにとるべき手続きを分かりやすく説明します

さて、労働者が業務上のけがや病気となり、治療を受けたにもかかわらず障害が残った場合、労災保険から障害給付を受けることができます。
今回は、障害を抱える人やその家族を支える障害給付を受け取るための手続きについて説明します。

障害の等級に応じて得られる3つの給付

障害給付は、以下の3つの給付が障害の等級に応じて年金もしくは一時金形式で支給されます。

○障害補償年金、一時金
○障害特別支給金
○障害特別年金、一時金

第1級から第7級の重い障害に対しては障害補償年金が、第8級から第14級までの比較的軽
い障害には、障害補償一時金が支給されます。
年金は年6回に分けて障害を負っている期間中に支給され、一時金は1回のみの支給となり
ます。

障害補償の対象となる障害の程度と給付内容は、障害等級表に定められています。

障害補償年金

第1級:給付基礎日額の313日分
第2級:同277日分
第3級:同245日分
第4級:同213日分
第5級:同184日分
第6級:同156日分
第7級:同131日分

障害補償一時金

第8級:給付基礎日額の503日分
第9級:同391日分
第10級:同302日分
第11級:同223日分
第12級:同156日分
第13級:同101日分
第14級:同56日分

(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』

給付基礎日額の計算方法について

障害補償年金、一時金の支給額は、「給付基礎日額」をもとに算出します。

労働基準法の平均賃金にあたるもので、仕事中や通勤中の事故(労災)が発生した日、もしくはうつ病など医師の診断によって疾病の発生が確定した日の直近3ヶ月間に支払われた給料の総額を暦日数で割った1日あたりの賃金額を言います。

なお、以下の賃金と期間は除外します。

賃金総額から控除されるもの

・臨時に支払われた賃金(ボーナスなど)
・3ヶ月を超える期間ごとに支払われた賃金
・通貨以外のもので支払われる賃金で一定の範囲に属しないもの

総日数から控除するもの

・業務上の負傷、疾病による療養のために休業した期間
・産前産後の休暇(女性の場合)
・使用者側の自由による休業期間
・育児休業期間、介護休業期間
・試用期間
(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』

障害特別年金、障害特別一時金

ボーナスなどの特別給与に関しては、障害特別年金、障害特別一時金として支給されます。算定の根拠となるのは「算定基礎日額」で、仕事中や通勤中の事故(労災)が発生した日、または、うつ病など医師の診断によって疾病の発生が確定した日以前の1年間に勤務先から受取った特別給与(ボーナス)などの総額を算定基礎日額とし、365で割った金額になります。

支給額はそれぞれ以下の通りです。

障害特別年金

第1級:給付基礎日額の313日分
第2級:同277日分
第3級:同245日分
第4級:同213日分
第5級:同184日分
第6級:同156日分
第7級:同131日分

障害特別一時金

第8級:給付基礎日額の503日分
第9級:同391日分
第10級:同302日分
第11級:同223日分
第12級:同156日分
第13級:同101日分
第14級:同56日分
(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』

障害特別支給金

障害特別支給金として、障害等級に応じた金額を一時金として受け取ることもできます。

一時金の支給額は以下の通りです。
第1級:342万円
第2級:320万円
第3級:300万円
第4級:264万円
第5級:225万円
第6級:192万円
第7級:159万円
第8級:65万円
第9級:50万円
第10級:39万円
第11級:29万円
第12級:20万円
第13級:14万円
第14級:8万円

(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』

一時金形式で給付を受けることもできる

障害給付の受給権者は、希望すれば一時金形式で給付を受けることもできます。
その額は、障害の程度によって異なります。
また、前払一時金を受け取ると、毎月の支給額の合計が前払一時金の額に達するまで支給が停止されます。

第1級:給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1200日分、1340日分
第2級:同200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1190日分
第3級:同200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1050日分
第4級:同200日分、400日分、600日分、800日分、920日分
第5級:同200日分、400日分、600日分、790日分
第6級:同200日分、400日分、600日分、670日分
第7級:同200日分、400日分、560日分

(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』

障害補償年金、障害補償一時金と、障害補償年金前払一時金の請求方法は以下の通りです。

1. 障害補償年金、障害補償一時金の場合
けがや病気が治癒した日の翌日から起算して5年以内に、「障害補償給付支給請求書」(労災則様式第10号)に医師の診断書等を添付し、労働基準監督署長に提出する
2. 障害補償年金前払一時金
原則として年金の支給請求と同時、もしくは年金の支給決定通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までに、「障害補償年金前払一時金請求書」を提出する

労災の後遺症認定を受けるには

また、障害補償給付(障害給付)申請の際に添付する診断書には、医師による症状の所見を記載する欄があります。

医師は忙しいので、簡単な所見や記述で済まされてしまうこともあります。
できるだけ詳しく書いてもらえるように依頼し、自覚症状などをはっきりと述べるようにしましょう。

労災保険の後遺障害認定を受けるには、診断書のほかに労働基準監督署の担当者との面接や、労災の医師(地方労災医員と呼ばれます)との面接(検査)などが複数回行われます。
この面接の結果が障害等級の決定に影響を与えることがあります。

診断の結果が不服な場合、結果を知った日の翌日から、審査請求なら3ヶ月以内、再審査請求なら2ヶ月以内に申し立てを行う必要があります。
不服申し立ては、審査請求と再審査請求の2回に限られます。

障害を受けた方の円滑な社会復帰や、家族介護を支援する制度

このほか、せき髄損傷など20の疾病となった方で、治癒後に症状が悪化した場合に、円滑な社会復帰を進めるための診察や保健指導、薬剤の支給といった「アフターケア制度」があります。

また、欠損障害や機能障害を負った方に対する義肢や車いすの購入費用の支援、障害1級を負った方で10年以上にわたって障害給付を受けていた方が亡くなった際に、遺族の方に「長期家族介護者擁護金」を支給する制度などがあります。
長期家族介護者擁護金を申請する際は、「長期家族介護者擁護金支給申請書」を労働基準監督署長に提出します。

【独立】個人事業主・起業家に役立つ話

税務署に開業届けを出して個人事業主となった場合、収入が130万円未満であれば健康保険は扶養家族のままでいられるの?

さて、ひとくちに「起業」といっても事業規模は様々です。

例えば、「夫の扶養家族になっているが、自宅で料理教室やネイルサロンを開業したい」という方もいるでしょう。
そういった方が開業届を出して事業主となった場合、引き続き扶養家族として、税金や健康保険、年金その他のメリットを受けることは可能なのでしょうか。

今回は、開業届を出して事業主になった場合の税金や健康保険などについてご紹介します。

扶養の範囲内で個人事業主として開業できます!

まず結論から言うと、「扶養の範囲内で個人事業主として開業することは可能」です。

開業届と社会保障の間に関係はありません。

なお、法人として起業した場合は、社長ひとりであっても社会保険に加入する義務があるので、扶養にはなれません。

日本の税制には「配偶者控除」や「扶養控除」という仕組みがあり、扶養する家族がいる人は年間所得から一定額が差し引かれ、税金が安くなります。

例えば、主婦が配偶者の扶養に入っている場合、年間38万円を超える所得があると、配偶者控除が受けられなくなります。

パートの主婦が夫の扶養に入れるかどうかの基準として、「年収103万円のカベ」「年収130万円のカベ」などと表現されることもあります。

まずは、この2種類を見ていきましょう。

「年収103万円のカベ」についておさらいしましょう

まず、パート主婦で言うところの「年収103万円のカベ」について。

これは、給与所得が103万円のパート主婦の場合、勤め人を対象にした65万円の給与控除を差し引くとちょうど所得は38万円になります。
そこから基礎控除の38万円を差し引けば、所得は0円と
いうことになるので所得税が発生せず、配偶者控除も受けられます。
さらに配偶者の税金も安くなり、良いことづくめです。

また、上記の配偶者控除と混同されやすい制度に「配偶者特別控除」があります。
これは、「配偶者の所得が38万円超76万円未満の場合、一定額の所得控除を受けられる」という制度です。つまり、38万円以上の収入がある場合も、76万円未満であれば、扶養家族としてみなす、ということです。

なお、2018年から配偶者控除が見直しとなり、年収103万円が150万円に引き上げられることが決まっています。
配偶者特別控除についても年収要件が201万円まで拡大されるので、より扶養内で働きやすくなると言えるでしょう。

「年収130万円のカベ」は所得ではなく収入です

次に、「年収130万円のカベ」についてです。
これは、健康保険や厚生年金といった社会保険の扶養に入るための限度額を指しています。

年収130万円を超えた場合、パート主婦であっても年金保険料を納める必要のない国民年金の第三号被保険者でいられなくなります。
この場合、個人事業主と見なされるので、自分で社会保険料を納めなくてはなりません。なお、こちらの130万円という額は所得ではなく「収入」なので、違いに注意が必要です。

配偶者の扶養に入っている人が個人事業主として開業した場合は?

ここで、配偶者の扶養に入っている人が個人事業主として開業したケースに戻ります。

パート主婦と同様に、年間38万円以上の所得があると配偶者控除が受けられなくなりますが、このとき注意しておきたいのは「パートやアルバイトなど給与所得者の“収入”」と「個人事業主の“所得”」は考え方が違うという点です。

個人事業主の“所得”とは、収入から必要経費を引いたものを指します。

1.所得税・住民税について
まず、「年収103万円のカベ」にかかわる所得税の課税ラインです。
収入から必要経費を引いたものが個人事業主の“所得”ですが、さらに確定申告で青色申告をし、一定条件をクリアすると追加で65万円が控除されます。
つまり「収入―経費―65万円=所得」となります。 この所得が38万円以下であれば、所得税は課税されません。

なお、青色申告をするには、あらかじめ税務署で手続きが必要になるほか、複式簿記による「仕訳帳」「総勘定元帳」の記帳と、貸借対照表と損益計算書の作成が必要です。

簿記の知識がない方にとっては少しハードルが高く感じるかもしれませんが、最近は会計ソフトで簡単に帳簿付けができます。

ですから、収入がある程度見込めるのであれば、チャレンジしてみてもいいでしょう。

一方、住民税については自治体によって課税基準が異なり、38万円以下でも課税されることがありますので確認が必要です。

2.社会保障について
ついで、「年収130万円のカベ」といわれる社会保険についてです。青色申告の65万円は税金に関してのものなので、社会保険での扶養には適用されません。

・健康保険について
加入している健康保険組合によって扱いが異なります。個人事業主であっても「年収130万円までであればOK」という場合や、「所得130万円までOK」という場合もありますし、中には個人事業主は全てNGという場合という場合もあるのです。

また、「年収130万円」までという条件の場合、費用は引けませんので注意しましょう。

・国民年金について 国民年金については、130万円までの収入であれば第三号被保険者として扶養の範囲に入ることができます。国民年金の扶養判定は、収入から費用を差し引くことができます。

赤字なら確定申告しなくてもいいの?

個人事業主の場合、事業所得が38万円以下であれば確定申告をしなくても良いとされています。

これは、所得から基礎控除の38万円を差し引けば、所得が0円になるためです。

ただし、赤字の場合は、翌年以降に事業が軌道に乗って収益が出せた場合に、赤字を繰り越すことができるので、翌年以降に節税するためにも確定申告しておくことをおすすめします。

なお、この場合は最長3年間赤字が全額繰り越せるため、青色申告がおすすめです。

【注意!】扶養から外れると、保険料だけで年間30万円の負担増!

ここまで、配偶者の扶養に入っている人が個人事業主として開業するケースについて見てきました。年収130万円のカベを超えてしまうと、扶養から外れて自分で社会保険料を納めなくてはならなくなります。

この場合、健康保険料と国民年金の負担だけで、年間だいたい20万~30万円もの負担が増えてしまいます。

個人事業主として開業し、この分を負担してもプラスになるほどの収益を上げられているなら気にする必要はありませんが、微妙なラインという場合は年収130万円以内に収めておくのが得策と言えるでしょう。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。