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さて、労働者が業務上のけがや病気となり、治療を受けたにもかかわらず障害が残った場合、労災保険から障害給付を受けることができます。
今回は、障害を抱える人やその家族を支える障害給付を受け取るための手続きについて説明します。
障害の等級に応じて得られる3つの給付
障害給付は、以下の3つの給付が障害の等級に応じて年金もしくは一時金形式で支給されます。
○障害補償年金、一時金
○障害特別支給金
○障害特別年金、一時金
第1級から第7級の重い障害に対しては障害補償年金が、第8級から第14級までの比較的軽
い障害には、障害補償一時金が支給されます。
年金は年6回に分けて障害を負っている期間中に支給され、一時金は1回のみの支給となり
ます。
障害補償の対象となる障害の程度と給付内容は、障害等級表に定められています。
障害補償年金
第1級:給付基礎日額の313日分
第2級:同277日分
第3級:同245日分
第4級:同213日分
第5級:同184日分
第6級:同156日分
第7級:同131日分
障害補償一時金
第8級:給付基礎日額の503日分
第9級:同391日分
第10級:同302日分
第11級:同223日分
第12級:同156日分
第13級:同101日分
第14級:同56日分
(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』 )
給付基礎日額の計算方法について
障害補償年金、一時金の支給額は、「給付基礎日額」をもとに算出します。
労働基準法の平均賃金にあたるもので、仕事中や通勤中の事故(労災)が発生した日、もしくはうつ病など医師の診断によって疾病の発生が確定した日の直近3ヶ月間に支払われた給料の総額を暦日数で割った1日あたりの賃金額を言います。
なお、以下の賃金と期間は除外します。
賃金総額から控除されるもの
・臨時に支払われた賃金(ボーナスなど)
・3ヶ月を超える期間ごとに支払われた賃金
・通貨以外のもので支払われる賃金で一定の範囲に属しないもの
総日数から控除するもの
・業務上の負傷、疾病による療養のために休業した期間
・産前産後の休暇(女性の場合)
・使用者側の自由による休業期間
・育児休業期間、介護休業期間
・試用期間
(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』 )
障害特別年金、障害特別一時金
ボーナスなどの特別給与に関しては、障害特別年金、障害特別一時金として支給されます。算定の根拠となるのは「算定基礎日額」で、仕事中や通勤中の事故(労災)が発生した日、または、うつ病など医師の診断によって疾病の発生が確定した日以前の1年間に勤務先から受取った特別給与(ボーナス)などの総額を算定基礎日額とし、365で割った金額になります。
支給額はそれぞれ以下の通りです。
障害特別年金
第1級:給付基礎日額の313日分
第2級:同277日分
第3級:同245日分
第4級:同213日分
第5級:同184日分
第6級:同156日分
第7級:同131日分
障害特別一時金
第8級:給付基礎日額の503日分
第9級:同391日分
第10級:同302日分
第11級:同223日分
第12級:同156日分
第13級:同101日分
第14級:同56日分
(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』 )
障害特別支給金
障害特別支給金として、障害等級に応じた金額を一時金として受け取ることもできます。
一時金の支給額は以下の通りです。
第1級:342万円
第2級:320万円
第3級:300万円
第4級:264万円
第5級:225万円
第6級:192万円
第7級:159万円
第8級:65万円
第9級:50万円
第10級:39万円
第11級:29万円
第12級:20万円
第13級:14万円
第14級:8万円
(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』 )
一時金形式で給付を受けることもできる
障害給付の受給権者は、希望すれば一時金形式で給付を受けることもできます。
その額は、障害の程度によって異なります。
また、前払一時金を受け取ると、毎月の支給額の合計が前払一時金の額に達するまで支給が停止されます。
第1級:給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1200日分、1340日分
第2級:同200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1190日分
第3級:同200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1050日分
第4級:同200日分、400日分、600日分、800日分、920日分
第5級:同200日分、400日分、600日分、790日分
第6級:同200日分、400日分、600日分、670日分
第7級:同200日分、400日分、560日分
(出典:厚生労働省『「障害(補償)給付の請求手続」障害等級表』 )
<h3障害給付の請求方法>
障害補償年金、障害補償一時金と、障害補償年金前払一時金の請求方法は以下の通りです。
1. 障害補償年金、障害補償一時金の場合
けがや病気が治癒した日の翌日から起算して5年以内に、「障害補償給付支給請求書」(労災則様式第10号)に医師の診断書等を添付し、労働基準監督署長に提出する
2. 障害補償年金前払一時金
原則として年金の支給請求と同時、もしくは年金の支給決定通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までに、「障害補償年金前払一時金請求書」を提出する
労災の後遺症認定を受けるには
また、障害補償給付(障害給付)申請の際に添付する診断書には、医師による症状の所見を記載する欄があります。
医師は忙しいので、簡単な所見や記述で済まされてしまうこともあります。
できるだけ詳しく書いてもらえるように依頼し、自覚症状などをはっきりと述べるようにしましょう。
労災保険の後遺障害認定を受けるには、診断書のほかに労働基準監督署の担当者との面接や、労災の医師(地方労災医員と呼ばれます)との面接(検査)などが複数回行われます。
この面接の結果が障害等級の決定に影響を与えることがあります。
診断の結果が不服な場合、結果を知った日の翌日から、審査請求なら3ヶ月以内、再審査請求なら2ヶ月以内に申し立てを行う必要があります。
不服申し立ては、審査請求と再審査請求の2回に限られます。
障害を受けた方の円滑な社会復帰や、家族介護を支援する制度
このほか、せき髄損傷など20の疾病となった方で、治癒後に症状が悪化した場合に、円滑な社会復帰を進めるための診察や保健指導、薬剤の支給といった「アフターケア制度」があります。
また、欠損障害や機能障害を負った方に対する義肢や車いすの購入費用の支援、障害1級を負った方で10年以上にわたって障害給付を受けていた方が亡くなった際に、遺族の方に「長期家族介護者擁護金」を支給する制度などがあります。
長期家族介護者擁護金を申請する際は、「長期家族介護者擁護金支給申請書」を労働基準監督署長に提出します。
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